東京育児日記

子どもが寝ているあいだに書くブログ

レッシグせんせいミーティング

(以下、文意を変えない範囲で書き換えてます。12/3)

内容はクリエイティブ・コモンズ(以下CCと略。でもこのキーワード解説はよくできてますね)の説明と質疑応答。終了後知りあいの編集者二人に偶然お会いする。私のいた席の近くで赤ちゃんをあやしながら話を聞いていた外国人女性がいたが、それがレッシグたんの奥さん(&赤ちゃん)だとあとで聞いておどろく。

感想をいくつか。

レッシグせんせいはやはり同人誌を過大評価している気がするよ。「CCのライセンスを同人誌などに使ってほしい」と言っていたけど、私は知識がないので知らないが、いわゆる同人誌の何割くらいが完全オリジナルで、何割くらいが元ネタのあるものなのだろうか。元ネタのあるものは、現行の著作権法下では本来は問題があるけど黙認されているだけのものだろうから、同人誌がライセンスで複製などを認めるようになると、原作者側が問題視するんじゃないかなぁ。

それから上のリンク先「ウェブログ@ことのは」や結城さんの指摘にあるように、weblogなどの一枚のウェブページに複数の情報が載っている場合のライセンスの切り分けはどうするのか。基本的なことだけど解決法はなかなか思い浮かばない。その状態でMovableTypeにセットして配布したのは、果たしてよかったのかどうか(著作権的に本来ダメな画像を貼る人などは多いから、ライセンスが有名無実化しないか。今やすでに懐かしいJBA問題なんてのもあったわけで)。以前自分の日記にCCのバナーを一瞬貼ったけど、この問題に気づいてすぐに外した。

それから、自分の作ったものにCCでライセンス登録しさえすれば、今すぐ金が入ってくるしくみだと勘違いしているんじゃないかと思われる質問が複数あった。「所詮アマチュアのものなのですか?」「企業が登録するインセンティブがない」とか。そりゃその通りだと思うけど、なんでそんなに厳しいかな。事務局側としても企業に協力してもらった方が目玉になるだろうから、できる限り進めたいだろうけど、有名な企業がメジャーなコンテンツをどんどん登録するとは考えにくいのは事実。まずはアマチュアが中心になるだろう。

でも、それがそんなに悪いかね?「CCというものにはこういう欠点があるんじゃないんですか?」という質問には、「でも世の中にCCというものが全く存在しないよりはいいし、今のところそれらの欠点に対する答えが見つからないんだから仕方ないじゃない」としか言えないなぁ。「こうすれば企業も使いたくなるのでは?」というアドバイスなら意味あると思うけど。

CCは基本的に、新しいライセンスのかたちを提示し、広めようという活動なのだし、財団からの補助金を受けてやっていると話していたように事務局が儲かる活動でも決してないのだから、そういう考え方が気に入った人は自分の作ったものをライセンスするなどして協力すればいいって事だと思うんだけど。何かもっとすごいものだと期待しすぎていた人が多いのかな?

今の世の中でも、純粋に創造だけで食っている人間はほとんどいなくて、コンテンツ産業従事者の大部分は創造を商品にするための様々な事務処理をしているのが現実だろう。ここから、レッシグせんせいのいうような変化が起き、少数のコンテンツ企業に支配されている世の中から、もっといろんな人が個々に作ったものを楽しむようになるとする。今でいえば他人のweb日記とかおもしろflashとかの発展したようなものが娯楽としてメジャーになり、キャラクターとしてはミッキーやスヌーピーよりモナーみたいなのが有名になったとする*1。それでも人間一人当たりの摂取コンテンツ量とかそれに払う金額が変わらない限り、創造で食う人間の数は変わらないんじゃないだろうか。

*1:このような内容を説明する例えでレッシグせんせいは、「ミッキーからキティーちゃんへ」と言っていたと思う。でもそれは明らかに違うよね。キティーちゃんはサンリオという企業のキャラクターなのだからミッキーと何も変わらない。このへん、レッシグせんせいの同人誌などの日本文化理解にあやしさを感じる