東京育児日記

子どもが寝ているあいだに書くブログ

無痛分娩が普及しないのは、お金の問題だと思う

痛くないお産、日本では少数派 背景に出産文化も:朝日新聞デジタル

義母が夫を産んだときに無痛分娩だったらしく、「無痛分娩、いいわよ〜」と言われたのだけど、もともと里帰り出産するつもりで調べてみたら、実家のある岐阜県には無痛分娩対応の病院がひとつもなかったので諦めました。

無痛分娩に対応している病院のリストはこちら。

無痛分娩施行施設-日本産科麻酔学会(JSOAP)-

見ていくと、東海地方でも愛知県にはたくさんあり、三重県は2つ、岐阜県はゼロというように、やはり都市部に偏っていますね。

無痛分娩のためには専門の麻酔医を雇わなければならず、もちろん設備も必要で、ちょっと入院する部屋を豪華にしますとか、入院食をフレンチにしますとかいうのよりもよっぽどお金がかかることのようです。

そして記事中でも触れられているように、妊娠したら、検診も分娩費用も保険がきかないので、無痛分娩を選択したら最低でも8万円以上の余分な出費になります。行ける範囲にはそれ以上の価格の病院しかないかもしれません。

保険がきかないといっても、最近は妊婦検診は自治体からもらえるチケットでほぼ無料になるところが多いし、分娩費用は出産一時金として本人または世帯主の健康保険からほぼ出ます。なのでいろいろな例外はあるにせよ、さほどコストはかからないようになっているのですが、今後子どもが生まれていろいろ物入りになるのが分かっているのに、痛みを抑えるけれど別に絶対必要というわけじゃない、というか日本ではそれなしで産んでいる人の方がずっと多い無痛分娩によぶんに約10万円払うか、と考えると、まあやらないでおく人が多いのは無理もないと思います。

子育て支援というなら検診も出産も基本無料で、豪華な部屋とかそういうのだけ個人が負担して、無痛分娩もせめて健康保険適応で3割負担になれば普及すると思うんですけどね。いま、無痛分娩がラクをしていると責められるのは、お金に余裕がないとできない高額な処置だからというのもあるんじゃないでしょうか。安くなって希望者が増えれば麻酔医も対応する病院も増え、経験者が多くなればイミフな偏見も消えるんじゃないかなーと。甘いでしょうか……。現状で対応する病院が都市部に多いのも、それだけ出せるお金持ちが地方にはほとんどいなくて、麻酔医やら設備やらに投資したら病院としてペイしないのでしょう。

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最後に自分の経験を少し書きます。すでに書いたように、行ける範囲に無痛分娩ができる病院がなかったこともあり、私は普通分娩で産みました。母子手帳によると、陣痛開始から出産まで16時間弱で、これは最初の出産としてはやや長めです。子どもが大きくて出生時体重が約3800グラムあったのがおもな原因のようです。確かに痛かった。辛かった。大変だった。だけど、仕事を休んで新幹線で来てくれた夫にしがみついてがんばれたのと、オギャーという声を聞いたら、「ああ、今までの痛みはこのためだったのか」と一気に納得しました。それまで痛い、辛い、苦しい、どんどんエスカレートしていつまで続くんだ状態だった痛みが一気に過去のものになった感覚は面白かったので、普通分娩じゃないとダメだなどとは全く思いませんが、まあ経験してみてよかったです。

それまでは、赤ちゃんが生まれてくるといわれても、胎動があっても、エコーで画像を見ても、いまいちピンとこなくて、さすがに押し迫ってきてからイオンモールでちいさなベビー肌着など買い、洗って干したのだが、これを着るような生き物が生まれてくるのか……謎だ。という感じだったのが、陣痛中も、助産師さんが「もうすぐ赤ちゃんに会えますよー」と言っていたのが、それがいったいどういうことだったのか、一気に現実になった感じでした。

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それからもう一つ、麻酔医のスケジュール問題があります。病院に一人しか麻酔医がいない場合など、出産が重ならないように計画的に出産日を決めて陣痛促進剤を使うので、生まれる日を自然に任せることができないそうです(病院のポリシーにもよるし、その病院を予約している妊婦さんの生まれそうな時期が重なるかにもよる)。

ここでまた自分の話をしますが、私の息子は予定日を過ぎてもまだ生まれませんでした。予定日を過ぎてから最後の妊婦検診があり、胎児がかなり大きくなっている(推定体重は3850gだが、あくまでも推定なので4キロ超えの可能性もあると言われた)ので、今すぐ入院して陣痛促進剤を打ってもいいがどうするか、と言われて迷ったのですが、やめました。医師には、一週間後にまだ生まれてなかったら入院して陣痛促進剤を打つよと言われ、もしそうなったら医師の言う通りにすることに抵抗はありませんでしたが、その2日後に自然に陣痛がきて生まれました。

私はとくに自然信仰が強いわけではなく、出産したのも公立の総合病院で、一般的な分娩台で産むことも別にイヤではなかったのですが、こういう経緯もあり、息子が自分で出てきたくなったときに出てくることを尊重できてよかったなという気持ちはあって、それも自然分娩のメリットではあります。