東京育児日記

子どもが寝ているあいだに書くブログ

六本木ヒルズの回転ドア事故

回転ドアというものは、外の風が内部に直接吹き込むことを防ぐのが目的なのだが、車椅子の人や、老人のように動きの鈍い人や、逆に今回の事故のようにあまり考えないで動いてしまう子供にはやさしくない設備だ。

アメリカに行ったとき、店舗の入り口などで回転ドアが多いなぁと感じた。ただし電動ではなくて人力が多かった(人力でも、子供が変な突っ込み方をしたら怪我くらいはするとしても、死にはしないだろう)。その代わりに日本では二重の自動ドアが多く、これはオフィスビルの建てられた時期の違いによるのかなぁと推測する。アメリカでは都市部の古いオフィスビルを改修を重ねても残す傾向にある一方、日本では割と建て替えてしまうし、そうでなくても70年代以降に建てられたオフィスビルが多い。アメリカのオフィスビルでも、改修で自動ドアのための電源設備を入れるのは不可能ではないと思うが、そもそも入り口付近にそのためのスペースがないのかもしれない。回転ドアは普通のドア+α程度のスペースがあれば設置できるけど、日本に多い自動ドアのようなふすま式(?)だと、それよりは多くのスペースが必要になる。

話はそれるが、「福祉のまちづくり」系の人が「アメリカでは都市部の道路とかの段差をなくす努力がはかられていて、バリアフリーで素晴らしい」みたいなことを言っているのだが、私は「だったらあの回転ドアはどうなんだよ」といつも思っていた。

先に書いたように、回転ドアというものが存在するのは空調上の理由だが、二重の自動ドアにする場合と空調効率がそんなに違うものなのか、私は知らない。二重ドアは、常時多くの人が出入りすると事実上入り口が開きっぱなしになってしまう。その点、回転ドアは必ず風を止められるようになっている。しかしそのために、人間がタイミングを合わせて飛び乗ったり、出入りする人が多い場合は行列になったりして、出入りする人間のほうに負担をかけているといえるだろう。

六本木ヒルズのようなたくさんの人が出入りする大きなビルだと、当然人力で回せる程度の小さな回転ドアでは人をさばききれない。では、普通の二重の自動ドアにしなかったのはなぜだろうか。あのドアを入ってすぐのところって吹き抜けのあるロビーみたいなもので、半野外的というか、風が入ってもたいして問題ではないような場所だったと思う(うろ覚え)。それを大きな電動の回転ドアにしたのは、単純にその方がカッコいいというデザイン上の理由だろうか?あの周りのデザイン過剰ぶりをみているとそんな気もするけど。それでも、センサーがちゃんと効いて止まるようになっていれば別にかまわないけど、それがうまく動かないという状態ではね…。

今回の件について、親や警備員など、周りの大人がもっと気をつければ…という議論もあるが、私は疑問だ。子供が走り回っていて回転ドアに一瞬で飛び込んだときに止められるか、と考えると、子供が多少無茶をしても危なくないハードを考えるほうが先決ではないか。六本木ヒルズは、確かにメインはオフィスや(高級系の)商業施設からなっている、大人のための施設だ。でも、地方の人が東京に着たら寄ってみるような、アミューズメント施設としての面も持っていて、そういう売り出し方をしている。遊園地に準ずるような、予測不可能な子供の動きを考慮した安全管理は必要だし、そういうハードを準備するべきではなかったか。

…とつらつら考えるに、電動の大きな回転ドアの存在意義って一体なんだろう、意味ないんじゃないかあれは。今回のように子供が遊びに来るのを十分予測できるような施設で、センサーが効いていないというのは論外としても、それ以外の場合でも、大型オフィスビルでわざわざ採用する理由があるのか、と思ってしまう。